軒先の風鈴 short story
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09 , 18
イカレタ彼女




技術開発局軍事部門部長、ホーミトン勲章勲二等研究員、甲殻龍騎開発者、対人龍殻開発者、イカレ技術者、思考妨害電波、化学兵器の女帝、生物の敵、標的を選ぶ毒ガス、情報でできた女、ぺた胸・・・

ミシェル・ハーマンの二つ名は尽きない。
その多くが常人にとっては不名誉極まりないものだが、彼女にとってはどうということも無い。
肝心なのはいかに思考の飢えを満たすことができるかであって、
他の雑事──例えば種の保存だとか殴り合いだとか──はどうでも良いのだ。

今期の興味対象は──ちなみに1期は4ヶ月──、彼女が一番最初に開発した
甲殻龍騎、原始の高貴なる狼“ヨーアルレーデ”のパイロットである。
彼は愛機に“玉龍”と名付けたようだ。勝手に。
まあ、そういった勝手も可愛いものだ。
あの射るような視線、或いは師を守るために彼が行う粛清同様。

彼が第二次レードン攻略で最高レベル5の空母五隻を討ち取る戦果を上げた日、
ミシェルは研究室にいた。
操作ミスで突如モニターに映し出された中継は、
爆炎を映して紅く染まった黒い狼に固定された。
そのパイロットを、誰もが知っていた。
“酷烈卿”ルシフェン・クリステフ・ダルフ──

それ以来、ミシェルが追っているのがルシフェンである。
ニックネームがルシフであることもつかんだ。
けれどそれでは満足できない。
思考の飢えを満たさなければ、ささくれ立った精神は死ぬしかないのだ。
初期作品で、欠陥だらけのプロトタイプに過ぎない“ヨーアルレーデ”を、
どうして彼はああまで乗りこなすことができるのか。
あの死神を可能な限り弄繰り回し、その謎を解きたい。
それが彼女の目下の願望である。

そして今日も纏わり付く。

「ミシェル・ハーマン」
「はいw」
「・・・そこをどいてくれないか」
「嫌ですw」

絶滅人種を髣髴とさせる漆黒の眼差しが困惑の光を宿す。
彼女にとっては、それすら可愛いものだ。
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