軒先の風鈴 short story
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09 , 17
意思の奥底に潜む自我、そして侵食される世界、




どうして、ときみはぼくに問う。
だけどぼくはそれに答える術を持たない。

からだはどこだ。
舌はどこへ行った。

どうして、ときみはぼくに尋ねた。
ぼくは、

「だれに迷惑をかけることもない」

そう伝えた。

きみは泣いただろう。
でもぼくは知らない。

きみの泣き顔、きみの体温、きみの息遣い、

どうして、ときみだけが問う。
馬鹿みたいなやつらに侵されたちっぽけな世界で、
きみだけが真実の探求者なんだ。

「きみの明日は、きっと変わる」

たった13文字しかない言葉の中に、
ぼくに許されうる全ての感情を込めて、きみにおくる。

きみは、そんなことはどうでもいい、と叫んだ。
少しがっかりしたぼくは答える。

「そんなことなんかじゃない」

そんなことだ、ときみは繰り返す。
少しがっかりしたぼくはまた答える。

「今のきみたちにとってはそんなことだよ。
でもそんなこととかそんなことじゃないとか、結局のところ、
この世界にとっては関係ないんだ。
たった一つだけの現実があって、みんなその中で生きている。
腐って錆びついた思考を他人に押し付けながら、
好きなことだけを喋り散らして、適当な相槌を求めて、
少しだけ満足する。それでいいんだ。みんな。
そういうことの繰り返しなんだ」

でもきっと、きみは違う。
沈黙しか返してくれなくなったきみは、ひとりで静かに泣いてる。

その間に、ぼくが取り返してこよう。

きみの笑顔とか、きみの幸せとか、きみの世界とか、

ただあることしかできないぼくにはできないかもしれない。
それでも、やらなくてはならないことなんて、
世界にはごろごろ転がってるだろう?

それを一つ、ぼくが持って帰るだけだ。
そうだよ。
たったそれだけのことで、
この際ぼくそのものがどうなるかなんて、どうでもいい。

だから、いく。
この汚濁に塗れた世界の中心には、

ぼくを殺すための巨大な首切り斧が火炎防壁とともにあるはずだ。
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